5人目のSS上級大将

2017–03–17 (Fri) 10:45
Karl Wolff

以前、カール・ヴォルフ“出”であるというペアの肩章↓のコレクション紹介をネットで見かけた。
まぁ、ヴォルフ物に関しては、これまでも制服や制帽、サイン入りポートレートなどなど…
有名人物にしては比較的、オークションなどで目にすることも多い人物でもあるので、実はそう珍しいという程ではないのだが…
Karl wolff_Schulterstück

この“物”…にはギャランティ代りのヴォルフ本人署名の添状↓がついており…
正確ではないかもしれないが、この文面を訳してみると…
Karl wolff_Schulterstück_urkunde

カール・ヴォルフ
退役 上級大将

私、退役武装SS上級大将カール・ヴォルフは、以下に示された武装SS大将用の肩章が私自身からの出物であり
また、これを第二次世界大戦中に所有していたことを証明するものである!

(署名)カール・ヴォルフ 退役 SS上級大将(最高集団指導者) 兼 武装SS上級大将


私の拙い解釈だと…
“getragen”の訳としては、“身に着けていた→着用していた”と直訳的に解釈すべきか迷ったのだが…
“物”の拡大画像を見る限りでは、縫い付け糸痕などがほとんどないことなどから…
ヴォルフが所持していた“物”であったとしても、おそらくは“スペアの肩章”…
実際に勤務服などに着用していた“物”ではないのではないかと判断した次第である。

…と、前置きが長くなってしまったが、今回は、そんな“重隅”なことを言いたいのではなく…
まぁ、以下も十分“重隅”だと揶揄されそうだが…(苦笑)

この書面にヴォルフがタイピングした、彼の階級…
のっけに記載の“Generaloberst a. D.”
後段の“SS-Oberstgruppenführer und Generaloberst d. Waffen-SS a. D.”の部分が私的には興味深かった。
この何気なく書かれている階級呼称…
↑の訳をご覧頂ければお気づきかと思うが、どれも“上級大将”ということなっている。
(公称的には“SS-Obergruppenführer und General d. Waffen-SS”(SS大将 兼 武装SS大将)とされている)

“SS上級大将”という階級は、総統の肝入りもあって…
ヒトラー53歳のバースデー…1942年4月20日付で…
“上級大将”階級新設に難色を示していた国防軍サイドに一応配慮し、フランツ・クサフェァ・シュヴァルツ、クルト・マックス・フランツ・ダリューゲの両SS文官を、まずはなんとか昇進させ…
総統暗殺未遂事件後にパワーバランスがSS優位にシフトすると…
1944年8月1日付で武装SSにもこの階級を新設し…
ヨーゼフ・“ゼップ”・ディートリヒ、パウル・ハウサーの両SS武官を昇進させた。
以上、この四名のみが公式的には“SS上級大将”であるとされているわけである。

当方の勝手な解釈としては…1945年4月28日に“忠臣ハインリヒ”の裏切り行為を知り、激怒したヒトラーは、すぐさまヒムラーの全官職を剥奪し、逮捕命令を出す。
それに伴い…それまで、ハイドリヒ亡き後…建前的にはSSのNo.2ではあったものの…
カタチ的にはイタリアに飛ばされ…既に親ヒムラー派でもなくなっていたヴォルフにとりあえずの最高階級でヒムラーの代わりとすべく、直に昇進を決めたとのことであるが…
ヴォルフはヴォルフで、この時期…イタリアにおける全面降伏に向けての調整で大忙し…
ましてや、ライチュがもう一人いたとしても、既に地下壕に辿り着くことは困難であり…
ヒトラーはヒトラーで…思いつき的にヴォルフ昇進を仄めかしたかもしれないが…
最期の時を間近にして、ある意味…それどころではなかったわけで…
もしヴォルフが明記したように、彼がSS上級大将に昇進していたというのであれば…
レーマーの時の如く、電話越しに…ヒトラー自らか、もしくは側近によって伝言で通達されただけなのかもしれない??
ご存知のように、ヒトラーは4月30日未明に自決しており…
またヴォルフ自身も5月2日には米軍に投降していることもあり…
この昇進が事実としても、手続き的なことが行われる時間も余裕もなかったものと思われ…
結局は非公式な昇進となってしまったのではないだろうか?
まぁ、明記するくらいなので、そのへんの経緯は、どこぞで語っているのかもしれないが…
ただそれも、このヴォルフ本人署名の添状自体が“本物”ということが前提ではあるのだが…
勿論、肩章も“本物”であるということは言うまでもないことである。

【補足】
“a. D.”は“außer Dienst”の略で“退役”という意。
“Generaloberst d. Waffen-SS ”の“d.”は“der”の略…英語で言えば“of”…“~の”ということになり、“武装SS(の)大将”となる。


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