映画『空軍大戦略』
1969年に公開の『空軍大戦略(原題:Battle of Britain)』は、数ある戦争映画のなかでも、衣装的にも、雰囲気的にも…私の中で独軍(空軍)物イチオシ映画といってもよい!
1940年7月~10月における英本土上陸に向けた制空権を巡る戦い“バトル・オブ・ブリテン”を描いたこの映画は、当然のこと英軍側がメインのはずなのだが、独軍側に話が切り替わると…当方の贔屓目かもしれないが、英軍側の野暮ったさが浮き彫りになり、独軍側のスマートさが一層如実となる。

因みに、独題は“イングランド航空戦(Luftschlacht um England)”となり、↑はこの映画の独版ポスターである。
CGやVFXなどといった技法のない時代ではあったが、まだ多数の実動機が残存していた時代でもあり、スピード感・臨場感・切迫感・戦闘感などは最新技法に劣るものの、メッサーシュミットBf109G-2、ハインケルHe111、ユンカース87と88、スツーカ急降下爆撃機様に改装されたプロクター、スピットファイアやハリケーンなどの(実機)勇姿を見られるというのは嬉しい限りである。
これらは、ベッドフォードシャのヘンロウ英空軍の基地で修理され、撮影に使用された。
因みに、爆撃シーンで使用された機体は、爆破するためだけにわざわざ造られた。
メッサーシュミットは、スペイン空軍が保有していたものをごっそり買い受けたとのことである。
クライマックスとなる独軍の飛行場爆撃シーンは、負傷者が続出するほどの緊迫感のなかでの撮影だったようで…
ロケ地となったスペインのラプラタ飛行場には、それら負傷者の救護のために、スペイン空軍側が、急ごしらえの医療施設を設置し、医療スタッフを派遣するほどであった。
実は、ゲーリングのフィギュアを作ってみようと思ったきっかけの一つが、この映画でもあった。
この映画で、ゲーリング役を演じたのがハイン・リースである。
リースは、1913年9月11日にハンブルクのアイルベクで生まれている。
船員、プロの歌手(レコードもリリースしている)などを経て、1963年に俳優として、幾つかのTV番組やドラマに出演。
そして、リースの代表作ともいうべき、この映画にゲーリング役として抜擢されている。
この映画で、航空関連の技術コンサルタントとして参加していたアドルフ・ガーランド(元)空軍中将は、リースの声はまさにゲーリングのようだったと評したとのこと。
余談だが…リースは、戦争中に一度、ゲーリングに実際に会った(おそらくは遠巻きに見た程度だとは思うが…)こともあるのだとか…

↑をご覧頂ければお分かりかと思うが、リースの纏う国家元帥の衣装は、複製品としては最高のレベルといえる。
特に、これだけ薄く、コンパクトに造られた肩章、襟章のモール刺繍の細かさ…制帽(鉢巻部)の空軍帽章、葉冠の細工、空軍鷲章など…当時はまだ、これだけの仕事のできる職人たちが存命だったから為せる技の数々といえよう。
それに加えて、現在ではこれだけ細い番手のモール糸自体が製造されていないのだそうだ。
『砂漠の鬼将軍』(1951年)で、ロンメル役を演じたジェームズ・メイソンの衣装が、ロンメルの実物の勤務服だったともいわれているのだが…
これは私的には少々懐疑的なのだが…このリースの衣装に関しては、ゲーリング本人の所用もしくはストック衣装が使われたといわれても納得してしまう。

ドーバー海峡を視察するゲーリング役のハイン・リースとオスターカンプ役のヴィルフリート・ ファン・アーケン
因みに、↓が実際のテオドーア・オスターカンプ空軍少将(のち中将)。
WWIでは32機に及ぶ撃墜数を誇るエクスペルテンである。 (※ゲーリングの撃墜数は22機)
勿論のこと、1918年9月2日付でプール・ル・メリット勲章も受章している。
WWIIではヴェルナー・メルダース空軍大佐で有名な第51戦闘航空団を指揮し、バトル・オブ・ブリテンでも6機を撃墜をするという、史上稀にみる二つの大戦双方での撃墜記録を持っている人物でもある。

視察に訪れるエアハルト・ミルヒ“空軍元帥(航空機総監)”役のディートリヒ・フラオベースを…
アルベルト・ケッセルリンク“空軍元帥”役のペーター・ハーガァと…
(※ただし、両人とも上級大将用のピプ3個を付けた肩章を着用)
ヨハネス・フィンク将軍役のヴォルフ・ハル二ッシュが出迎えるシーンで始まるオープニングが、またなんとも堪らない!
因みに、重箱の隅をつつけば…
この映画のオープニングの設定時期は…おそらくバトル・オブ・ブリテン前…
つまり1940年7月10日以前だと思われるので…
ミルヒ、そして二階級特進をするケッセルリンクの両人とも…7月19日付で空軍元帥に昇進しているので、実際にはまだ、それぞれ空軍上級大将、航空兵科大将であった。

フィンクも役のうえでは“将軍”となっているが、空軍少将昇進は1940年10月1日付ということなので、まだこの時期は空軍大佐ということになる。
1940年7月~10月における英本土上陸に向けた制空権を巡る戦い“バトル・オブ・ブリテン”を描いたこの映画は、当然のこと英軍側がメインのはずなのだが、独軍側に話が切り替わると…当方の贔屓目かもしれないが、英軍側の野暮ったさが浮き彫りになり、独軍側のスマートさが一層如実となる。

因みに、独題は“イングランド航空戦(Luftschlacht um England)”となり、↑はこの映画の独版ポスターである。
CGやVFXなどといった技法のない時代ではあったが、まだ多数の実動機が残存していた時代でもあり、スピード感・臨場感・切迫感・戦闘感などは最新技法に劣るものの、メッサーシュミットBf109G-2、ハインケルHe111、ユンカース87と88、スツーカ急降下爆撃機様に改装されたプロクター、スピットファイアやハリケーンなどの(実機)勇姿を見られるというのは嬉しい限りである。
これらは、ベッドフォードシャのヘンロウ英空軍の基地で修理され、撮影に使用された。
因みに、爆撃シーンで使用された機体は、爆破するためだけにわざわざ造られた。
メッサーシュミットは、スペイン空軍が保有していたものをごっそり買い受けたとのことである。
クライマックスとなる独軍の飛行場爆撃シーンは、負傷者が続出するほどの緊迫感のなかでの撮影だったようで…
ロケ地となったスペインのラプラタ飛行場には、それら負傷者の救護のために、スペイン空軍側が、急ごしらえの医療施設を設置し、医療スタッフを派遣するほどであった。
実は、ゲーリングのフィギュアを作ってみようと思ったきっかけの一つが、この映画でもあった。
この映画で、ゲーリング役を演じたのがハイン・リースである。
リースは、1913年9月11日にハンブルクのアイルベクで生まれている。
船員、プロの歌手(レコードもリリースしている)などを経て、1963年に俳優として、幾つかのTV番組やドラマに出演。
そして、リースの代表作ともいうべき、この映画にゲーリング役として抜擢されている。
この映画で、航空関連の技術コンサルタントとして参加していたアドルフ・ガーランド(元)空軍中将は、リースの声はまさにゲーリングのようだったと評したとのこと。
余談だが…リースは、戦争中に一度、ゲーリングに実際に会った(おそらくは遠巻きに見た程度だとは思うが…)こともあるのだとか…

↑をご覧頂ければお分かりかと思うが、リースの纏う国家元帥の衣装は、複製品としては最高のレベルといえる。
特に、これだけ薄く、コンパクトに造られた肩章、襟章のモール刺繍の細かさ…制帽(鉢巻部)の空軍帽章、葉冠の細工、空軍鷲章など…当時はまだ、これだけの仕事のできる職人たちが存命だったから為せる技の数々といえよう。
それに加えて、現在ではこれだけ細い番手のモール糸自体が製造されていないのだそうだ。
『砂漠の鬼将軍』(1951年)で、ロンメル役を演じたジェームズ・メイソンの衣装が、ロンメルの実物の勤務服だったともいわれているのだが…
これは私的には少々懐疑的なのだが…このリースの衣装に関しては、ゲーリング本人の所用もしくはストック衣装が使われたといわれても納得してしまう。

ドーバー海峡を視察するゲーリング役のハイン・リースとオスターカンプ役のヴィルフリート・ ファン・アーケン
因みに、↓が実際のテオドーア・オスターカンプ空軍少将(のち中将)。
WWIでは32機に及ぶ撃墜数を誇るエクスペルテンである。 (※ゲーリングの撃墜数は22機)
勿論のこと、1918年9月2日付でプール・ル・メリット勲章も受章している。
WWIIではヴェルナー・メルダース空軍大佐で有名な第51戦闘航空団を指揮し、バトル・オブ・ブリテンでも6機を撃墜をするという、史上稀にみる二つの大戦双方での撃墜記録を持っている人物でもある。

視察に訪れるエアハルト・ミルヒ“空軍元帥(航空機総監)”役のディートリヒ・フラオベースを…
アルベルト・ケッセルリンク“空軍元帥”役のペーター・ハーガァと…
(※ただし、両人とも上級大将用のピプ3個を付けた肩章を着用)
ヨハネス・フィンク将軍役のヴォルフ・ハル二ッシュが出迎えるシーンで始まるオープニングが、またなんとも堪らない!
因みに、重箱の隅をつつけば…
この映画のオープニングの設定時期は…おそらくバトル・オブ・ブリテン前…
つまり1940年7月10日以前だと思われるので…
ミルヒ、そして二階級特進をするケッセルリンクの両人とも…7月19日付で空軍元帥に昇進しているので、実際にはまだ、それぞれ空軍上級大将、航空兵科大将であった。

フィンクも役のうえでは“将軍”となっているが、空軍少将昇進は1940年10月1日付ということなので、まだこの時期は空軍大佐ということになる。

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カテゴリ : Film
テーマ : 戦争映画(第二次世界大戦)
ジャンル : 映画