第56回 静岡ホビーショー

5月13日(土)、14日(日)の二日間、静岡市のツインメッセ静岡にて開催された「第56回静岡ホビーショー」に、今年も作例出展者側として参加させて頂きました！
まだ先、まだ先…などと悠長に構えていたら、フッと気づけば静岡出発…前日搬入日…
ちょっとしたパーツ類(襟章の台布など)の作成が残っており…
出発までに、突貫作業で間に合せはしたものの、なんとなく納得が行かず…
念のため、宿泊先のホテルでも作業ができるように、用具一式も持参し、いざ新幹線で一路、静岡に！
今回は、当ブースのメンバー全員が、二日間、同じホテルを予約できたこともあり…
…後の飲み食いなども堪能できた三日間でした。
(因みに、襟章は…前日搬入後の飲み食いの後…酔で眠いなか、結局、未明まで作業…)

今回も、YASさん、酒井さん…
ta-sukeさん、maruちゃん…
そして、他の同(1/6)スケールの中野さん、ICHKAWA BASEの市川さんはじめ海外からの同胞の方々…
本当にお疲れ様＆楽しい時間をありがとうございました！
是非、また来年！

今回は、『SS-Obersturmbannführer Jochen Peiper』と『Panzermänner』の2点にての出展参加となりました。


(※拡大画像)

「待ちかねたパイパー・ヘッド」でも紹介した、３Rからリリースのパイパー・ヘッドを使い…
ようやくパイパーらしいパイパーをカタチにできたようにも思う。
写真、映像等でも見たことのない、“SS大佐”にしてみるのも面白いのではとも思ったのだが…
静岡には間に合わず…それはまた別の機会にでも…
とりあえず、今回は“詰襟”バージョンのSS中佐ヨアヒム・パイパーをご覧頂きたい。

チェルカースィの雄

1943年末、東部戦線南部方面のソ連軍はエーリッヒ・フォン・マンシュタイン陸軍元帥の南方軍集団配下、エーヴァルト・フォン・クライスト陸軍元帥のA軍集団に対して西進を試みていた。
既にどう贔屓目にみても弱体化していた独軍は、冬季の天候と将兵の疲労…それからくる士気の低下でソ連軍の勢いが弱まることに微かな望みをつないでいたところもあったが、そのような期待も呆気なく打ち砕かれることとなる。
同年12月24日には、ニコライ・ヴァトゥーチン将軍率いる第１ウクライナ方面軍がコロステン(ウクライナ北西部)およびジトミール(ウクライナ西部)の解放を目指して西進し、さらに明けて1944年1月5日にはイヴァン・コーニェフ将軍率いる第２ウクライナ方面軍にキロヴォグラードを奪還されてしまう。
これにより、コルスン(ウクライナ中部/チェルカースィ)付近を占領していた第１装甲軍団と第８装甲軍団の合わせて6万余にのぼる将兵に危機が迫ることとなったが、ヒトラーはいつもの如く退却を許可しなかった。
1月24日、包囲を目論むコーニェフはキロヴォグラードから北西に進軍し…4日後の28日にはスヴェニゴロドゥカでヴァトゥーチンの軍と連結して包囲網を完成させた。

マンシュタインは、直ちにコルスンに孤立した友軍救出の命令を出し、第３装甲軍団には西側から、第47装甲軍団には前線の南東部を攻撃させるべく両軍団を派遣している。
雪解けが始まり足場は悪くなっていたものの、第3装甲軍団は何とかリシャカ（コルスンの南東約20km）に到達し、包囲されている友軍にあと一歩のところにまで迫り、第47装甲軍団はチェルカースィ（スヴェニゴロドゥカの南東25km）付近でコルスンへ進軍するソ連軍の壁となるべく戦闘状態にあった。



このチェルカースィの戦闘において“Löwe von Tscherkassy（チェルカースィの雄）”と称されたのがテーオバルト・ヘルムート・リープ陸軍中将である。
リープは、1944年2月1日付で第47装甲軍団長に任官。
盆地であるチェルカースィの地の利も生かし…スヴェニゴロドゥカからコルスンに向かおうとするソ連軍を押し留め、これにより第3装甲軍団のコルスンへの到達を助けるに至った。
そして、ついに2月16日夜半～17日未明にかけ脱出が試みられることとなる。
独軍側の報告ではこれによって半数の約3万の将兵が脱出に成功したとしているが、ソ連側の資料では脱出に成功した者はほとんどいなかったとしている。

リープはチェルカースィでの功により同年2月7日付で騎士鉄十字章を授章し…脱出成功後(?)の18日には全軍第400番目の柏葉章が追与されている。

※「Löwe」は独語で、“ライオン、獅子”などの意味もあり、リープを称して“The Lion of Tscherkassy”としているところもあるが、これ以外にも“中心人物、花形、ヒーロー”といった意味もあることから、ここでは『チェルカースィの雄』と訳させて頂いた。
いかにも鬣豊かな“ライオン”というのは、あまりに当て擦りのような観もあるので…(苦笑)

リープは1889年11月25日、スイス国境に近いシュバルツバルト(黒い森)の中央に位置する高原保養地フロイデンシュタットで生まれている。
1910年3月20日付で第123歩兵連隊に入隊し、翌1911年8月18日付で陸軍少尉に昇進。
第一次大戦中は、最終的に陸軍大尉で終戦を向かえている。
戦後も軍隊に留まり…第15歩兵連隊中隊長、騎兵連隊中隊長などを歴任した後、ドレスデンの陸軍歩兵科学校の教官及び対戦車戦の監修に任官。
1934年10月1日付で陸軍中佐、1937年4月1日付で陸軍大佐に昇進。
翌1938年11月10日付で第27歩兵連隊連隊の指揮官に任官。
西部戦線の後、1941年6月1日付けで陸軍少将に昇進し、ヴッパータールの軍管区司令官に任官。
同年9月17日付で第290歩兵師団の副師団長となるが、11月10日付で予備師団に転属。
1942年4月16日付でフランクフルトの軍管区司令官に任官。
1943年2月21日付で第306歩兵師団の師団長代理に任官。
同年4月1日付で陸軍中将に昇進。
同年9月3日付で第112歩兵師団の師団長に任官。
翌1944年2月1日付で、上記の如く…第47装甲軍団の司令官に任官することとなる。
この後は再び予備師団に転属。
同年6月1日付で伊駐留の第34歩兵師団を引き継ぎ、伊からの退却援護の戦闘を指揮。
1945年5月の降伏をもって米軍の捕虜となった。
戦後は故郷のフロイデンシュタットに戻り、1981年3月20日に亡くなっている。(享年91歳)


Generalleutnant Theobald Helmut Lieb
《P'log移転 作例 第八弾》

ここからは、Sideshow Toyから2002年にリリースされた“Hogan's Heroes/Oberst Klink”のヘッドに触発されて制作した、将官用コート姿のリーブを模した…随分前の作例ではあるが…をご覧頂こうと思う。
これは、かつてPEIPER's CUSTOMのHPに掲載していたものであるが…
HP更新の際に、なぜか消去されてしまった。
ところが、つい最近になって…
それ以前にバックアップをとっていたCD-Rが見つかり、この記事と併せて再掲載できる運びとなった。









このヘッドを見た時…その特徴的な、左目にかけられたモノクル姿というのも理由ではあるが…
まさにリープ！とも思える、その前頭部の加減がイメージそのものであったことが、制作の一番のきっかけとなった。
今となっては造形、塗装ともお人形チックな観は否めないが…
Sideshow Toyのヘッドの造形は、当時の既製品のなかでは、なかなかに特徴を捉えた味のあるものが多かったように思う。








【 Ergänzung 】

さて、上記の脱出作戦後のウクライナでの独軍南方面戦線であるが…
その後も戦局の好転はみられず、逆に一層壊滅的な打撃を被ることとなり前線は確実に押し戻されることとなる。
もはやマンシュタインにも、クライストにも打つ手はなくなりつつあった。
1944年3月下旬、急遽、マンシュタインは本国に戻り、ヒトラーと接見し、増援部隊の派遣などを願い出る。
さすがにヒトラーも今回は了承せざるを得ず、仏に駐留していた第２装甲軍団が派遣され最悪の事態だけは免れる。
ただし、マンシュタインは司令官の任を解かれ、南方軍集団はヴァルター・モーデル陸軍元帥（3月31日付で陸軍元帥に昇進）による北ウクライナ軍集団へと、Ａ軍集団はフェルディナント・シェルナー陸軍元帥（4月5日付で陸軍元帥に昇進）による南ウクライナ軍集団へと改組されるが、もはや局面の打開はおろかソ連軍の勢いを食い止めることは出来なくなっていた。
既にブーク川の独側防衛線は突破され、4月10日には、ついにソ連軍はルーマニアの国境を越えた。